社内でDX人材を育成したい場合、社員にDXスキルを証明できる資格を取得させるのも1つの方法です。資格取得によって必要なスキルや知識を習得させれば、DX推進の足掛かりにできるためです。

しかし、どのような資格を取得すればいいのか、わからない方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、DX推進に効果的な資格を紹介します。また、資格取得のメリットや選び方、重要なポイントも解説するので、ぜひ参考にしてください。

DXスキルを直接証明できる資格4選

DXスキルを直接証明できる資格には、次の4つがあります。

  • DX検定
  • デジタルトランスフォーメーション検定
  • +DX認定
  • DXアドバイザー検定

それぞれ詳しく解説します。

DX検定

一般社団法人日本イノベーション融合学会が主催するDX検定は、DXの知識力レベル認定ができる資格です。これからの社会の発展、ビジネス全般に必要なDX・生成AI時代に生きるすべてのビジネスパーソンをDX人材に導くことを目的に実施されています。

現在、DX検定とDXビジネス検定賀実施されており、DX検定では先端IT技術トレンドとビジネストレンド、DXビジネス検定では、DXの基礎やビジネスモデル、DXビジネス事例など、DXにかかわる全般の必須知識が問われます。

・DXビジネス検定:60分96問の知識問題(多肢選択式出題)
※Web受験、PC、タブレットでの受験が可能

項目内容
開催時期・DX検定:年2回、7月・1月にWeb開催
・DXビジネス検定:年2回、4月・11月にWeb開催
試験形式・DX検定:60分120問の知識問題(多肢選択式出題)
受験費用いずれも6,600円(税込)

参考:DX検定™シリーズ総合サイト

デジタルトランスフォーメーション検定

デジタルトランスフォーメーション検定とは、一般財団法人全日本情報学習振興協会が主催するDX関連の資格試験の総称です。

DX推進部署の責任者やエンジニア、DX推進を事業として手掛ける組織などを対象にしています。

デジタルトランスゴーメーション検定には、以下の3つの試験があります。

  • DXパスポート試験
  • DX推進アドバイザー認定試験
  • DXオフィサー認定試験

DXパスポート試験とは、DXの基礎について問われる試験です。

DXとは概要や特徴、AIやビッグデータ、IoT、クラウドといった、DXに欠かせない技術の基礎知識を学びます。

DXについてこれから学ぶ人やDX担当者を目指す一般社員におすすめの資格試験です。

DX推進アドバイザー認定試験とは、DXの現状把握や、企業・ビジネスを変革するためのデジタル技術、変革の推進に必要な人材・方法論などが問われる試験です。DXに関する中級的な知識を学びます。

DX担当者や各業務のリーダーなど、DX推進の実務者を目指す方におすすめの資格試験です。

DXオフィサー認定試験とは、DX推進を手掛けるCDXやCDXO、CDOに必要なDX知識、DX人材になるために必要な基礎知識が問われる試験です。DXに関する状況U的な知識を学べます。

上級管理職やIT関連業務の担当者、DX関連部署での管理職やプロダクトマネージャー、ビジネスデザイナー、エンジニア、プログラマーを目指す方におすすめです。

項目内容
開催時期・DXパスポート試験:年4回、2月・4月・7月・10月に開催
・DX推進アドバイザー認定試験:年4回、3月・6月・9月・12月に開催
・DXオフィサー認定試験:年4回、2月・4月・7月・10月に開催
試験形式・DXパスポート試験:60分60問
・DX推進アドバイザー認定試験:90分100問
・DXオフィサー認定試験:120分100問
受験費用・DXパスポート試験:9,350円(税込)
・DX推進アドバイザー認定試験:11,000円(税込)
・DXオフィサー認定試験:13,200円(税込)

参考:DXパスポート試験|一般財団法人全日本情報学習振興協会
参考:DX推進アドバイザー認定試験|一般財団法人全日本情報学習振興協会
参考:DXオフィサー認定試験|一般財団法人全日本情報学習振興協会

+DX認定

IoT検定制度委員会が主催する+DX認定資格試験とは、DX推進にかかわる人の基礎的な知識を測る認定資格です。

DXについての知識屋体系の理解度など、DX推進の基礎スキルを問われる内容で、DXの実践に必要な知識やスキルを認定します。経済産業省が制定したデジタルスキル標準に内容に対応しているのが特徴です。

項目内容
開催時期通年受験可能(自宅や職場など、インターネット環境必須)
試験形式40分40問、四肢択一
受験費用8,800円(税込)

参考:DXに関わる人の基礎力を測る『DX推進最初の認定資格「+DX認定」』

DXアドバイザー検定

DXアドバイザー検定は、一般社団法人中小企業個人情報セキュリティー推進協会が主催する検定試験です。

DX実務の推進に欠かせないDXリテラシーやITリテラシー、ビジネスアナリシス、情報マネジメントなどの領域の知識を問われます。

これからDX推進を担う人や、企業にDXのコンサルティングをする人などの実践に役立つ知識を得られます。

項目内容
開催時期通年実施
試験形式90分80問、四肢択一形式
受験費用10,000円(税込)

参考:DXアドバイザー検定|一般社団法人中小企業個人情報セキュリティー推進協会

DXに関連する資格15選

DXに関連する資格には、以下のようなものがあります。

  • ITパスポート試験
  • DS検定
  • G検定
  • E資格
  • 基本・応用情報技術者試験
  • ITストラテジスト試験
  • プロジェクトマネージャ試験
  • データベーススペシャリスト試験
  • ITコーディネータ試験
  • AWS認定
  • AI実装検定
  • Python3エンジニア認定試験
  • ネットワークスペシャリスト試験
  • データスペシャリスト試験
  • 情報セキュリティマネジメント試験

ITパスポート試験

ITパスポート試験は、独立行政法人情報処理推進機構が主催する試験で、情報処理技術者試験の一試験区分であり、情報処理の促進に関する法律に基づいた国家試験です。

ITを利活用するすべての社会人や、これから社会人になる学生が習得するべきITに関連する基礎知識を証明できます。

ITを正しく理解したり、業務意においてITを効果的に利活用できたりするための知識を習得できます。

項目内容
開催時期通年実施
試験形式120分100問
受験費用7,500円(税込)

参考:ITパスポート試験|独立行政法人情報処理推進機構

DS検定

DX検定(データサイエンティスト検定リテラシーレベル)とは、一般社団法人データサイエンティスト協会が実施する検定試験です。

初級レベルのデータサイエンティストの方や、これからデータサイエンティストを目指すビジネスパーソン、データサイエンティストに関心がある学生などを対象に実施されます。

項目内容
開催時期年2回実施(2024年10月時点)
試験形式100分100問(選択式問題)
受験費用・一般:10,000円(税込)
・学生:5,000円(税込)

参考:データサイエンティスト検定™リテラシーレベル|一般社団法人データサイエンティスト協会

G検定

G検定とは、一般社団法人日本ディープラーニング協会が主催する検定試験です。

AIやディープラーニングの活用リテラシーを習得するための試験で、ディープラーニングをはじめ、AIに関連するさまざまなスキルや手法、ビジネス活用のための基礎知識を有していることを証明できます。

AIについて体系的に理解したい人や、データの利活用による新しい企画・アイデアを考えたい人、企業のDXに向けてリテラシーを向上させたい人などにおすすめです。

項目内容
開催時期年6回、1月・3月・5月・7月・9月・11月に実施
試験形式120分160問程度(多肢選択式)
受験費用・一般:13,200円(税込)
・学生:5,500円(税込)

参考:G検定とは|一般社団法人日本ディープラーニング協会

E資格

E資格とは、一般社団法人日本ディープラーニング協会が実施する資格試験です。

ディープラーニングの理論を理解して、適切な手法によって選択・実装するスキルや知識を有することを証明できます。

E資格の試験を受けるには、JDLA認定プログラムを試験日の過去2年以内に終了する必要があります。

項目内容
開催時期年2回実施
試験形式120分100問程度(多肢選択式)
受験費用・一般:33,000円(税込)
・学生:22,000円(税込)
・会員:27,500円(税込)

参考:E資格とは|一般社団法人日本ディープラーニング協会

基本・応用情報技術者試験

基本情報技術者試験・応用情報技術者試験とは、独立行政法人情報処理推進機構が主催する資格試験です。

基本情報技術者試験は、ITエンジニアとしてプロダクト開発に必要な基礎知識・スキルを有していることを証明できる試験です。指導を受けながら企画や要件定義、設計、開発などを担当できるレベルの知識やスキルが求められます。

応用情報技術者試験は、高度IT人材を対象にした披見で、経営戦略の策定や評価、要件定義書の制作、プロジェクト管理の知識やスキルを証明できます。高いITスキルに加えて、経営スキル・ビジネススキルも求められます。

ワンランク上のITエンジニアを目指す場合におすすめです。

項目内容
開催時期・基本情報技術者試験:通年実施
・応用情報技術者試験:年2回、4月・10月に実施
試験形式基本情報技術者試験:科目A90分60問(四肢択一)、科目B100分20問(多肢選択式)
応用情報技術者試験:午前150分80問(四肢択一)、午後150分11問(記述式)
受験費用7,500円(税込)

参考:基本情報技術者試験|独立行政法人情報処理推進機構
参考:応用情報技術者試験|独立行政法人情報処理推進機構

ITストラテジスト試験

ITストラテジスト試験は、独立行政法人情報処理推進機構が主催する資格試験です。

ITストラテジストとは、高度なITの知識によって企業の課題を明確にしたり、業務効率化やIT戦略の立案を行ったりする専門職のことです。

ITストラテジスト試験をクリアすることで、実務経験5年分のスキルに相当するといわれており、高度IT人材としての知識・スキルを証明できます。

項目内容
開催時期年1回、4月に実施
試験形式・午前Ⅰ:50分30問(四肢択一)
・午前Ⅱ:40分25問(四肢択一)
・午後Ⅰ:90分3問(記述式)
・午後Ⅱ:120分2問(論述式)
受験費用7,500円(税込)

参考:ITストラテジスト試験
|独立行政法人情報処理推進機構

プロジェクトマネージャ試験

プロジェクトマネージャ試験(PM)は、独立行政法人情報処理推進機構が主催する資格試験で、国家試験である情報処理技術者の一区分です。

プロジェクトを取り巻く環境の変化や関係者のさまざまな要求に対応しながら、プロジェクトを成功に導くマネージャーや管理職の方を対象にしています。

高度な専門知識を問う問題が多く、出題数の多さと難易度高さ、出題範囲の広さに特徴があります。

項目内容
開催時期年1回、10月に実施
試験形式・午前Ⅰ:50分30問(四肢択一)
・午前Ⅱ:40分25問(四肢択一)
・午後Ⅰ:90分3問(記述式)
・午後Ⅱ:120分2問(論述式)
受験費用7,500円(税込)

参考:プロジェクトマネージャ試験|独立行政法人情報処理推進機構

データベーススペシャリスト試験

データスペシャリスト試験とは、独立行政法人情報処理推進機構が主催する資格試験です。

こちらも、情報処理技術者試験の高度試験における区分の1つであり、高いスキルを証明できる国家資格です。

企業における事業活動を支えるデータの管理や、データベースシステムの構築など、データ分析基盤を提供するデータベース管理者、インフラ系エンジニアの方を対象にしています。

項目内容
開催時期年1回、10月に実施
試験形式・午前Ⅰ:50分30問(四肢択一)
・午前Ⅱ:40分25問(四肢択一)
・午後Ⅰ:90分3問(記述式)
・午後Ⅱ:120分2問(記述式)
受験費用7,500円(税込)

参考:データベーススペシャリスト試験|独立行政法人情報処理推進機構

ITコーディネータ試験

ITコーディネータ試験とは、ITコーディネータ協会が主催する資格試験です。ケース研修受講の終了と合わせて試験に合格すれば資格を取得できます。

ITコーディネータとは、企業の存続や成長のために、IT経営とDXを実現できるプロフェッショナル人材のことを指します。そのため、資格取得によって高度なIT人材、DX人材であることを証明可能です。

試験の種類は「ITコーディネータ試験」と「専門スキル特別認定試験」の2つとなっており、ITコーディネータ試験は誰でも受験可能です。一方、専門スキル特別認定試験は、強化指定の資格保有者のみが受験可能です。

項目内容
開催時期年2回、7月・1月に実施
試験形式・ITコーディネータ試験:120分100問(多肢選択式、必須問題60問、選択問題40問)
・専門スキル特別認定試験:80分60問(多肢選択式)
受験費用・ITコーディネータ試験:19,800円(税込)
・専門スキル特別認定試験:9,900円(税込)

参考:ITコーディネータ試験|特定非営利活動法人ITコーディネータ協会

AWS認定

AWS認定とは、Amazonが提供するAmazon Web Survice(AWS)に関する知識・スキルを証明する資格です。

AWSは世界中の企業・個人に利用されている、クラウド市場でもトップクラスのシェアを誇るサービスです。AWS認定を受けることで、特にITエンジニアとしてのレベルの証明につながります。

AWS認定資格には、スキルレベルに応じたさまざまな試験があり、受験者のレベルに応じた試験を受験可能です。

受験者のレベルごとの認定資格は次のとおりです。

レベル認定名
FOUNDATIONAL・Cloud Practitioner
ASSOCIATE・SysOps Administrator
・Developer
・Solutions Architect
・Data Engineer
PROFESSIONAL・Solutions Architect
・DevOps Engineer
SPECIALTY・Advanced Networking
・Database
・SAP on AWS
・Machine Learning
・Security

これらの認定資格を取得することは、AWS関連の専門家の証となり、社内での発言や転職に有利に働きます。

項目内容
開催時期通年実施
試験形式FOUNDATIONAL:90分65問
ASSOCIATE:130分65問
PROFESSIONAL:180分75問
SPECIALTY:170分65問(Advanced Networking、SAP on AWS、Security)、180分65問(Database、Machine Leaning)
受験費用・FOUNDATIONAL:15,000円(100USD)
・ASSOCIATE:20,000円(150USD)
・PROFESSIONAL:40,000円(300USD)
・SPECIALTY:40,000円(300USD)

参考:AWS 認定|AWS

AI実装検定

AI実装検定とは、AIEO(AI実装検定実行委員会)が主催する、ディープラーニングに関する実装能力と知識を問う検定試験です。

B級・A級・S級の3つの認定レベルが設定されており、体系的なディープラーニングの実装知識とスキルを証明できます。また、合格者にはディープラーニング実装師の称号が与えられます。

項目内容
開催時期通年実施
試験形式・B級:40分30問(四肢択一)
・A級:60分60問(四肢択一)
・S級:60分50問(四肢択一)
受験費用・B級:一般9,900円(税込)、学生5,500円(税込)
・A級:一般14850円(税込)、学生8,250円(税込)
・S級:33,000円(税込)

参考:AI実装検定|AIEO

Python3エンジニア認定試験

Python3エンジニア認定試験とは、一般社団法人Pythonエンジニア育成推進協会が主催する認定試験です。

Python3エンジニア認定試験には、以下の2種類があります。

  • Python3エンジニア認定基礎試験
  • Python3エンジニア認定データ分析試験

基礎試験は、Pythonの便利さの理解と、適切に利用できるために必要な知識やスキルの測定を目的にした試験で、基礎的な文法知識などを問われます。

データ分析試験は、Pythonを用いたデータ分析のための知識が問われる試験で、データサイエンスに特化した試験となっています。

項目内容
開催時期通年実施
試験形式60分40問(マウス選択問題)
受験費用一般11,000円(税込)、学生5,500円(税込)

参考:Python3エンジニア認定基礎試験|PythonED

参考: Python3エンジニア認定データ分析試験|PythonED

ネットワークスペシャリスト試験

ネットワークスペシャリスト試験とは、独立行政法人情報処理推進機構が主催する国家資格試験です。

ネットワーク分野での専門的な知識やスキルを持つスペシャリストであると国が認定する人気の高い資格で、情報処理技術者試験の中でも最高タンクに位置付けられています。

この資格を取得することで、高度IT社会の実現に必要な優れた技術を活用できる人材であると認定されます。

項目内容
開催時期 
試験形式 
受験費用 
項目内容
開催時期年1回、4月に実施
試験形式・午前Ⅰ:50分30問(四肢択一)
・午前Ⅱ:40分25問(四肢択一)
・午後Ⅰ:90分3問(記述式、解答数は2問)
・午後Ⅱ:120分2問(記述式、解答数は1問)
受験費用7,500円(税込)

参考:ネットワークスペシャリスト試験|独立行政法人情報処理推進機構

データスペシャリスト試験

データスペシャリスト試験は独立行政法人情報処理推進機構が主催する国家資格試験です。情報処理技術者試験のなかでも、高度試験に該当する難易度の高い試験です。

この資格を取得すれば、高度IT人材として確立した専門分野を持っていることを証明でき、専門スキルも用いた情報システム基盤の企画や要件定義、開発、運用、保守における中心人物としての役割を担ったり、技術支援を行ったりできます。

項目内容
開催時期 
試験形式 
受験費用 
項目内容
開催時期年1回、10月に実施
試験形式・午前Ⅰ:50分30問(四肢択一)
・午前Ⅱ:40分25問(四肢択一)
・午後Ⅰ:90分3問(記述式、解答数は2問)
・午後Ⅱ:120分2問(記述式、解答数は1問)
受験費用7,500円(税込)

参考:データベーススペシャリスト試験|独立行政法人情報処理推進機構

情報セキュリティマネジメント試験

情報セキュリティマネジメント試験は、独立行政法人情報処理推進機構が主催する骨格資格試験です。

この資格を取得すれば、サイバー攻撃などの脅威から組織を守り、組織の情報セキュリティ確保に貢献できることを証明できます。

業務上、個人情報を取り扱う方や、情報セキュリティ管理の知識・スキルを習得したい方におすすめの資格です。

項目内容
開催時期通年実施
試験形式120分120問(科目A60問四肢択一、科目B60問多肢選択式)
受験費用7,500円(税込)

参考:情報セキュリティマネジメント試験 出題内容|独立行政法人情報処理推進機構

社内人材がDX資格を取得する4つのメリット

社内の人材がDXに活用できる資格を取得する場合、次のようなメリットを享受できます。

  • DXを実現するための行動を促せる
  • 知識レベルに合わせてDXに取り組める
  • データの利活用が可能になる
  • 社内の人的資本を把握できる

それぞれ詳しく解説します。

DXを実現するための行動を促せる

DX関連の資格取得によって、DXを推進するための行動を促せるメリットがあります。

DX資格を取得した社員は、デジタル技術の活用方法や組織変革の重要性を理解できるためです。

例えば、業務プロセスの効率化や顧客体験の向上につながるデジタルツールの導入を提案できるようになるほか、DXの必要性を他の社員に分かりやすく説明できるため、組織全体のDXへの理解と協力を得やすくなります。

また、デジタル技術に関する知識やトレンド、成功事例に精通しやすくなるため、AIやIoTなどの先端技術を活用した新規事業の提案や、既存のビジネスモデルの変革案といった、自社の状況に適したDX戦略の立案も可能です。

経営層もDXの重要性を認識しやすくなるため、必要な投資や体制づくりに前向きになる可能性が高まるでしょう。

さらに、DX関連の資格取得者が増えれば、部門を越えた横断的なDX推進チームの結成も容易になります。

異なる専門性を持つメンバーが協力することで、包括的で効果的なDX戦略を立案・実行できるようになるでしょう。

社内人材のDX資格取得によって、企業全体でDXを推進する機運を高め、実際の行動に移しやすくなります。

知識レベルに合わせてDXに取り組める

社内でDX関連の資格取得者がいる場合、各部門や個人の理解度に応じたDX戦略を立てられるようになります。

組織内のDXに関する知識レベルが向上するためです。

基礎的な知識を持つ社員には、デジタルツールの使い方から教育し、より高度な知識を持つ社員には、複雑なデジタル戦略の立案を任せるといった具合です。知識レベルに合わせた適切な役割分担が可能になり、効率的にDXを進められます。

また、DX資格の取得レベルに応じて、段階的なDX推進計画の立案が可能です。

初級レベルの資格保有者が多い部門では、まずはデジタルリテラシーの向上や基本的なツールの導入から始め、中級・上級レベルの資格保有者が多い部門では、より高度なデジタル戦略の実行や新技術の導入を推進できるでしょう。

DX関連の資格できれば、組織全体のDXレベルを段階的かつ着実に向上させられます。

データの利活用が可能になる

社内人材がDX関連の資格を取得することで、企業内のデータを有効活用できるようになります。

取得するDX資格によっては、データ分析の重要性と基本的な手法を学べるためです。

特にデータに関する資格を取得できれば、データの収集から分析、活用までの一連のプロセスを理解できるため、高度なデータ戦略を立案できます。

例えば、ビッグデータの活用やAIを用いた予測分析など、先進的なデータ活用方法を提案し、実行できるでしょう。

これにより、企業は市場動向の予測や顧客ニーズの先取りなど、データをもとにした戦略的な意思決定が可能になります。

また、部門を越えたデータ共有や分析の文化が醸成される可能性もあります。

例えば、営業部門のデータと製造部門のデータを組み合わせて分析すれば、新たな事業機会や改善点を発見できる可能性が高まります。

データを正しく解釈し、意思決定に活用する能力が組織全体で向上するため、効果的な経営判断ができるようになるでしょう。

社内の人的資本を把握できる

社内人材のDX資格の取得状況を通じて、企業は社内の人的資本を正確に把握できます。

そのため、どの部門にどのレベルのDX人材がいるのか、また、組織全体としてどの程度のDX推進力があるのかを客観的に評価できるようになるでしょう。

人材育成や配置の最適化が可能になり、DX推進が遅れている部門に資格保有者を配置したり、高度なDXスキルを持つ社員をリーダーとして起用したりするといった人事施策を実行できます。

また、把握したDX資格の取得状況は、企業の人材戦略立案にも活用可能です。

例えば、特定のDXスキルが不足しているなら、その分野の専門家を外部から採用するか、既存の社員の育成に注力するかを判断する材料にできます。

DX資格の取得状況を通じた人的資本の把握や適切な活用は、企業の持続的な成長と競争力強化につながります。

DX資格を選ぶ際の2つのチェックポイント

社内の人材にDX関連の資格を取得させたい場合、次のポイントを意識して取得する資格を選びましょう。

  • 目的に合った資格を選択する
  • 資格取得を目指す人材のスキルに合わせて選択する

それぞれ詳しく解説します。

目的に合った資格を選択する

DX資格を選ぶ際には、企業や部門の目的に合致しているかを確認しましょう。

目的に合った資格でなければ、取得できたとしても生かせない恐れがあるためです。

例えば、データ分析力を強化したい部門であれば、データサイエンティスト検定などのデータ分析に特化した資格が、全社的なDX戦略の立案・実行を目指す場合は、DX推進責任者育成講座などの包括的な資格が有効です。また、特定の技術領域を強化したい場合は、クラウドやAIなどの専門的な資格を選択するとよいでしょう。

企業の課題や目標と、資格の内容を照らし合わせることで、より実践的な選択が可能です。また、業界動向や技術トレンドを考慮し、将来的にも価値のある資格を選ぶようにしましょう。

資格取得を目指す人材のスキルに合わせて選択する

DX資格を選ぶ際には、取得を目指す社員のスキルレベルや経験を考慮することも重要です。

DXに関連する資格には、初心者向けの基礎的な資格から、経験者向けの高度な資格まで、さまざまなレベルの資格が存在するためです。

例えば、ITの基礎知識が不足している社員には、ITパスポート試験などの入門レベルの資格から始めるのが適切でしょう。

一方、すでにIT知識がある社員には、より専門的な資格にチャレンジさせることで、スキルアップを図ることができます。

また、資格取得にかかる時間や難易度も考慮することも大切です。社員の業務負担と資格取得の両立が可能かどうかを検討し、無理のないスケジュールを立てましょう。

社内の人材にDX資格を取得させる場合の5つのポイント

社内の人材にDX資格を取得させる場合、次にあげるポイントを意識しましょう。

  • DX推進の戦略を決める
  • 資格を取得する目的を明確にする
  • 資格取得のための社内制度を整備する
  • DX推進を積極的に進める部署・部門を設置する
  • 資格取得の対象者を選定する

それぞれ詳しく解説します。

DX推進の戦略を決める

DX資格の取得を推進する場合、その前に企業全体のDX戦略を明確にすることが重要です。

顧客サービスのデジタル化を重視するのか、社内業務プロセスの効率化を目指すのかによって、必要となるDXスキルや資格が異なるためです。

まずは、どのような分野でデジタル化を進めるのか、どのようなビジネスモデルの変革を目指すのかを具体的に決めましょう。

戦略が定まれば、それに沿った形で必要な人材像や求められるスキルセットを明確にでき、どのような資格取得を推進すべきかの方向性が見えてくるでしょう。

資格を取得する目的を明確にする

DX関連の資格を取得させる場合は、目的を明確にすることが大切です。

資格取得を命じる社員の理解と協力を得る必要があるためです。

この場合、「DXを推進するため」といった漠然とした理由ではなく、具体的なメリットや期待される効果を示しましょう。

例えば、「顧客サービスの品質向上につながる」「業務効率化によるコスト削減が期待できる」といった具体的な目的を設定してください。

また、資格取得が個人のキャリア形成にどのように役立つか、資格取得者がどのような役割を担うことになるのかを明示すれば、社員の自発的な学習意欲を引き出せます。

目的が明確であれば、社員は自身の成長と会社の発展をリンクして考えられるようになるため、より積極的に資格取得に取り組めるようになります。

資格取得のための社内制度を整備する

社内人材にDX資格を取得させる場合は、資格取得のための社内制度を整備しましょう。

まず、資格取得にかかる費用の補助や、合格時の報奨金制度といった金銭的サポートを検討しましょう。社員の経済的負担を軽減し、挑戦しやすい環境を整えられます。

また、資格取得のための学習時間の確保も重要です。勤務時間内での学習時間の許可や、資格試験前の特別休暇の付与などの施策を検討してみてください。

さらに、資格取得者に対する評価制度も整備しましょう。昇進や昇給、特別手当の支給など、資格取得が具体的なキャリアアップにつながる仕組みを作ることで、社員のモチベーション向上につながります。

このような制度を整備すれば、社員が安心して資格取得に取り組めるようになります。

DX推進を積極的に進める部署・部門を設置する

DX資格取得を推進するためには、専門の部署や部門を設置するのが効果的です。

全社的なDX戦略の立案から、必要な人材の育成、資格取得の推進まで、一貫して担当する部署を設置しましょう。

この部署が中心となって、各部門のDXニーズを把握し、それに応じた資格取得計画を立案します。また、資格取得後の人材の活用方法やDXプロジェクトの推進など、実践的な側面もサポートします。

専門部署の存在により、社員にDXの重要性を実感させられれば、資格取得への意欲を高める効果を期待できるでしょう。

資格取得の対象者を選定する

DX資格取得を推進する際は、適切な対象者の選定が重要です。

現在の業務内容やスキルレベル、将来的なキャリアプランなどを考慮し、資格取得が効果的な人材を見極めましょう。

この場合、IT部門の社員だけでなく、営業や人事など、さまざまな部門から選抜することで、全社的なDX推進につながります。

また、資格取得後にDX推進のリーダーとして活躍できる人材を優先的に選ぶことも大切です。

対象者の選定では、上司の推薦や本人の希望も考慮し、モチベーションの高い社員を選ぶのがおすすめです。

適切な人選により、資格取得後の知識やスキルの活用が円滑に進み、企業全体のDX推進を加速させられるでしょう。

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DX資格を取得してDX推進を加速させましょう

DXに直接関係する資格や、関連性の高い資格にはさまざまなものがあります。社内の人材がDX資格を取得すれば、DX推進の足掛かりとできるほか、社内の人的資本も把握できるでしょう。

また、DX資格の取得を促す場合は、自社のDX推進の目的に合った資格を選択したり、社内制度や部門、部署を整備したりすることが大切です。

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投稿者プロフィール

鈴木里奈
鈴木里奈
株式会社真工社 DX専門家
製造現場で工程設計や新規品の立ち上げ、海外工場への技術支援を経て、DX推進室の立ち上げに参画。DX専門家として社内外のDX支援に取り組む。